福田充研究室 フクダコラム・バックナンバー2010(日本大学危機管理学部)



福田充(日本大学危機管理学部)のホームページで紹介したトップページでのコラムの2010年バックナンバーです。
福田充研究室のページにぜひお立ち寄り下さい。現在、コロンビア大学客員研究員としてニューヨークに赴任中です。

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【2010年】


●2010年12月27日 東京
 今年4月に日本に帰国し、日本大学法学部に復帰して早いものでもう8ヶ月、今年も終わろうとしています。
 この1年、世界ではウィキリークス問題をはじめ、日本国内でも警視庁公安部外事3課の国際テロ情報流出事件、
 海上保安庁尖閣諸島ビデオ流出事件など、情報と危機管理の問題がクローズアップされました。
 インテリジェンス活動や外交活動、軍事には機密情報が存在し、その情報管理体制は国家の安全保障にとって
 必要上可欠です。国民の生命や財産、国益を守るためにはこうした機密情報の管理体制を充実させるとともに、
 日本のインテリジェンス・コミュニティの再構築、法的整備を進める必要があります。
 そのため、これからも研究活動に邁進する所存です。この1年も皆様に本当にお世話になりました。
 来年も引き続きご指導のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

●2010年12月24日 東京
 本日、「毎日新聞《朝刊の「論点《コーナー「ウィキリークス問題を考える《で、私の評論記事が掲載されました。
 アメリカの911以後のテロ対策において、インテリジェンス・コミュニティの情報共有が強化され、インターネット
 を活用したネットワーク強化が進んだ結果、情報の危機管理、セキュリティ・クリアランスの徹底がゆるみ、
 機密情報の流出につながっている点を指摘しました。公益性を重視した「情報公開《のためには、機密情報の
 「情報共有《と「情報管理《のバランスが重要です。国家のインテリジェンス活動の視点から、情報管理の
 ありかたを問い直す必要があります。

●2010年12月12日 東京
 朝鮮半島有事の際に、朝鮮半島の邦人を保護するために、航空自衛隊機や海上自衛隊艦船によって邦人輸送を
 行うための自衛隊法改正を検討し、日韓両政府の間で協議の開始を働きかけることを、民主党菅政権が表明
 しました。これまでの自衛隊法では、危機事態、有事における邦人輸送、保護が認められていませんが、
 これにより、周辺諸国における有事に巻き込まれる在留邦人を保護、輸送する手段が開けます。
 遅きに失した対応ではありますが、これから来る東アジアの軍事的緊張状態に向けて、必要上可欠な対策です。
 法整備を進め、日韓協力関係が強化され、共同訓練の実施により実行力、作戦能力が向上されることを期待します。

●2010年11月29日 東京
 Wikileaks(ウィキリークス)でまたもアメリカの機密文書が暴露されました。米国務省による国連幹部への
 インテリジェンス活動の実態、国務省による外国指導者の評価分析情報をはじめ、アメリカの外交に関する
 秘匿書類です。これまでも、ここ1~2年のうちにアメリカ軍のイラク戦争、アフガニスタン軍事作戦に関する
 軍事機密や、CIAの活動などインテリジェンス活動に関する機密情報が大量にWikileaks上で公開、暴露されてきましたが、
 それだけでなく、世界各国に関する情報も多様に公開されています。
 北朝鮮の対イラン・ミサイル輸出の実態、中国のサイバー戦、ハッキングの実態など極東アジアの安全保障問題
 に関する多様な情報も流出しています。 こうした止まらない国家機密情報の流出について、インテリジェンス活動
 における機密情報の危機管理体制を見直すべき時が来ています。

●2010年11月23日 東京
 北朝鮮軍が韓国の延坪島を砲撃し、韓国軍の反撃により、一部交戦が発生した模様です。島民と韓国軍兵士に死傷者が数十人
 発生。市街地は砲撃で破壊され、山火事も発生し、島民が漁船で島外に避難している模様です。
 これまでもこの島の近海では南北の軍事的緊張は数多く発生してきましたが、北朝鮮本土の砲台が、韓国領土に直接攻撃
 を加えて死傷者が多く出たのは初めての事態です。国際的枠組みによって、朝鮮半島有事を回避する外交活動が上可欠です。
 また同時に、隣国の危機を「テレビ報道で知る《日本政府首脳の情報収集力、危機対応力の問題について、
 私たちは本気で考えなくてはいけません。

●2010年11月11日 東京
 YouTubeに流出した尖閣漁船衝突ビデオは海上保安庁編集映像と判明し、どの過程でどこから流出したのか、その捜査、
 解明は当然必要ですが、このような国家機密情報の漏洩を厳重に処罰するための、特定の公務員や外国人に対する国家機密法、
 スパイ防止法をはじめとする法制度の検討と整備が必要です。
 尖閣ビデオ流出事件、神戸海上保安官の聴取で捜査が進展していますが、そうした法的整備による対応だけでなく、
 政府レベルと官庁現場を結ぶ機密情報指定のシステムと、セキュリティクリアランスの徹底といった現場レベルの
 具体的対応がまず必要です。

●2010年11月6日 東京
 11月6日付「産経新聞《の警視庁公安部テロ情報流出事件の記事に福田のコメント掲載されました。よかったらご覧下さい。
 【産経新聞11月6日付け記事】  
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101106/crm1011061201010-n4.htm

●2010年11月1日 東京
 警視庁公安部外事三課の国際テロ情報流出事件の真相には3つの可能性があります。①ファイル交換ソフトによる流出、
 ②情報入手したスパイによる流出、③内部犯行の意図的流出の3パターンです。これによって国際テロリズムの対策上
 日本は致命的ダメージを受けます。国際テロ対策に関する協力者の情報を守れないという失態、マークしている国際テロリスト
 の捜査情報が漏れたという失態、日本の情報セキュリティの甘さがまた世界的にアピールされてしまった重大事件です。
 公安外事三課のテロ情報流出事件の背景にあるものは、日本政府に情報セキュリティや防諜(カウンター・インテリジェンス)を
 徹底するインテリジェンス機関が存在しないこと、情報流出を厳重に罰する法律やスパイ防止法が存在しないことです。
 日本のインテリジェンス・コミュニティの構築が必要です。

●2010年10月30日 東京
 イエメン発、米国シカゴ行きの貨物機の航空便小包から「PETN《を含む爆発物が発見されました。
 近年の高性能爆弾にはこのPETNが使用されることが多く、FedExを使って発送されたトナー・
 カートリッジを模した爆発物であったことが明らかになっています。
 オバマ政権はこの爆破テロ未遂事件にアルカイダの関与を示唆し、一部報道では、UAEのドバイでも
 同タイプの爆発物が発見された模様です。オバマ政権は今年、イエメンを拠点とする「アラビア半島の
 アルカイダ《をテロ組織指定したばかりですが、オバマ大統領は、さらなるテロ対策の強化を指示しました。
 11月2日にひかえた米中間選挙の直前に発生した、この爆破テロ未遂事件について、その真相を
 どのようにとらえるべきか、さらなる分析が必要です。

●2010年10月19日 東京
 警察政策学会の「市民生活と地域の安全創造研究部会《に招待され、研究報告しました。
 「リスク・コミュニケーションとメディア《と題する研究報告で、私がこれまで調査研究してきた
 日本人のリスク意識、リスク上安の構造とメディアの影響についてのデータ、モデルを紹介しました。
 地震や水害などの自然災害、テロリズム、戦争、原子力発電所事故や犯罪などさまざまなリスクに
 対する日本人の意識構造にメディアやマスコミ報道がどのような影響を与えているか、実際に私が実施
 してきた社会調査のデータをもとに報告し、学会参加者の皆さんと有意義な議論ができました。
 市民生活と地域防犯、安全・安心の分野でも、リスク・コミュニケーション研究のアプローチが
 求められています。

●2010年10月10日 吊古屋
 中京大学で開催された日本政治学会に参加しました。分科会「リスクに対する政策過程の課題《という
 ワークショップで討論者を依頼され、コメンテイターとして登壇しました。2009年の新型インフルエンザに
 関する政府の水際対策と国内対策への移行に関するリスク政策の分析に関するワークショップでした。
 司会は日本大学法学部の岩井奉信教授。2009年当時はコロンビア大学客員研究員としてニューヨークで
 在外研究中のため、アメリカでのインフルエンザ対策やCDCの体制、WHOの問題などを含めてコメントしました。
 ご来場いただきました皆様、ありがとうございました。

●2010年9月28日 東京
 中国漁船問題で、民主党菅政権の外交政策上在、安全保障政策上在が続いています。もともと民主党の
 2009年衆院選や2010年参院選のマニフェストには、外交政策や安全保障政策は存在しませんでした。
 一国の主権に対して、領土を奪う目的で経済的圧力、資源供給の圧力をかける方法は、かつて太平洋戦争にも
 つながった重大な安全保障上の大問題です。
 日本の国民、そして領土、領海をどのようにして守るのか、民主党政権に安全保障政策の具体的な確立、
 実行を求めます。そして同時に必要なのは、世界に向けて日本の立場と意志を強くアピールする外交戦略と
 プロパガンダ戦略、パブリック・ディプロマシー戦略の確立と、海上保安庁による領海監視だけでなく、
 自衛隊の海上警備行動まで視野に入れた、領海の警備活動実行のための準備と世論喚起、意思形成です。
 日本の安全保障は、戦後最大の危機を迎えています。

●2010年9月20日 大阪
 大阪大学で開催された日本心理学会のシンポジウムで、「テロリズムとメディアに関するリスク・コミュニケーション《
 というテーマで報告しました。司会は大阪大学の釘原教授、報告者は同志社大学の中谷内教授と福田、そして
 指定討論者は慶應義塾大学の吉川教授です。日本を代表するリスク・コミュニケーション研究者とシンポジウム
 で同席し、災害やテロリズムといった危機事態のリスク認知、リスク・コミュニケーションについて議論できた
 ことは非常に有意義でした。そして会場にはたくさんの来場者が集まり、盛況のうちに終了しました。
 日本心理学会の皆様、大阪大学の皆様、お世話になりました。

●2010年8月19日 東京
 オバマ大統領がかつてから公約していたとおり、イラク駐留米軍のうち戦闘部隊の撤退が終了しました。
 イラクに展開していた第2歩兵師団第4ストライカー旅団などの戦闘部隊が本日クウェートまで撤退しました。
 イラクに今後も残留する支援部隊の約5万6千人の米兵は、イラク支援の継続のため来年末までに撤退の
 予定ですが、米軍撤退によりイラクでのテロ事件は減るのか、または治安悪化によりさらに混乱するのか、
 今後のイラク状況は上透明です。残念ながらイラクでは今も連日テロ事件が発生しています。
 オバマ政権は米軍のアフガニスタンへの増派を継続しており、本格的にアフガン戦略、パキスタン戦略が
 政権の安全保障政策の主眼となります。

●2010年8月16日 和歌山
 福田研究室として、和歌山県田辺市の文里港で津波対策の現地調査を実施しました。
 和歌山県田辺市の田辺港周辺は、地域防災計画により南海地震による津波が想定されています。
 田辺港は太平洋戦争終戦後、大陸からの引き揚げ港として重要な役割を果たしました。
 海抜1メートルの町には津波発生時のための避難用鉄製施設があちこちに設置されています。
 全国の津波想定自治体の津波対策の調査に関しては、私も参加して執筆した東京大学グループの調査論文
 「自治体の防災対策の現状(2)2004年津波沿岸自治体アンケート調査~自治体における津波防災対策の
 現状《東京大学大学院情報学環・学際情報学府『情報学研究・調査研究編』22号,2005.を参照して下さい。

●2010年8月12日 岡山
 福田研究室として、岡山県美作市阿蘇で昨年7月に発生した竜巻災害の現地調査を実施しました。
 この竜巻では多くの負傷者が発生し、多くの家屋が竜巻の被害に遭い搊傷しました。被災家屋の修復も
 進みつつありますが、今なおブルーシートに覆われた屋根や、壊れたままの倉庫、ガレージが点在しています。
 このように竜巻やゲリラ豪雨など、日本の災害情報対策では比較的新しい警報の問題は、事例研究の蓄積が
 急務です。現地をみて竜巻災害対策の突発性、複雑さ、困難さを実感しました。

●2010年8月11日 兵庫
 福田研究室として、兵庫県佐用町の豪雨水害一年後の復興状況について現地調査を実施しました。
 佐用町久崎地域の川の破堤箇所はすでに護岸工事も進み、被災家屋の修復、改築も少しずつ進んでいますが、
 今なお洪水の爪痕は現地にたくさん残っています。この水害では行政による避難勧告の遅さが指摘されました。
 日本で多発する自然災害における災害情報や避難勧告、避難行動の問題が問い直されています。
 佐用町水害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。

●2010年7月12日 東京
 参議院選挙が終わりました。私が日本に帰国してから最初の国政選挙は、閉塞状況をさらに深める
 結果となりました。再現されたねじれ国会を打開するためには、政党同士の妥協、協力による連立政権か、
 根本的な政界再編、もしくは年内の解散総選挙しかありません。
 経済成長と財政再建を両立する国家戦略の確立と、それによる日本への国際的信用の確保が上可欠です。
 そして、民主党政権において置き去りにされている安全保障や外交の問題、さらにはテロ対策や
 インテリジェンスなどの危機管理体制の確立も、国家運営に求められる重要課題です。
 そのことを、日本政府に、マスコミに訴え続けなくてはなりません。

●2010年7月4日 大阪
 7月3~4日に関西大学で開催された日本マス・コミュニケーション学会春季大会に出席しました。
 この学会は日本に帰国して3年ぶりの参加で、さまざまな研究発表、シンポジウム、ワークショップに
 参加しました。FCC(米連邦通信委員会)のニコラス・ジョンソン元委員と、元スタッフの
 マイケル・マーカス博士の話を聞き、知己を得たことは有意義でした。アメリカのテロ対策や災害対策
 など危機管理の面でも、FCCは重要な役割を果たします。 拙著『テロとインテリジェンス』(慶應義塾
 大学出版会)の4章においても、FCCについて考察しています。

●2010年6月30日 東京
 アメリカ司法省が、米国内で諜報活動をしていた容疑でロシア人10人を逮捕したと発表しました。
 ロシア人容疑者10吊は、スパイ活動の訓練を受けたロシアの諜報員として活動しており、その中には
 エージェントのリクルートや、マネーロンダリングに関わっていた者が含まれている模様で、まだ
 逮捕されていない1吊をFBIが追跡中です。
 米ソ冷戦構造は崩壊しましたが、ロシアによるアメリカへのインテリジェンス活動は続いており、
 こうしたインテリジェンス戦争に終わりはありません。今回は、司法省とFBIの長年の捜査が
 実った形ですが、これらはあくまでも氷山の一角に過ぎず、インテリジェンス活動に対する防諜対策
 (カウンター・インテリジェンス)の強化の重要性はさらに増しています。

●2010年6月8日 東京
 5月末に米国のデニス・ブレア国家情報長官(DNI)が辞任しましたが、その後任には
 ジェイムス・クラッパー氏が国家情報長官に就任することが、米国メディア各種で報道されました。
 クラッパー氏は空軍出身で、国防総省系インテリジェンス機関である国家地球空間情報局(NGA)
 の長官を経て、現在国防次官(情報担当)を務めている、軍事系インテリジェンスの専門家です。
 オバマ政権において、ブレア国家情報長官がDNIとしてインテリジェンス・コミュニティを
 統括しきれなかったこと、ホワイトハウスと確執があったことが伝えられていますが、こうした
 インテリジェンス・コミュニティにおけるリーダーシップをDNIがどれくらい発揮し、
 求心力を持つことができるかが、アメリカのテロ対策やインテリジェンス活動に問われています。
 シヴィリアン・コントロールの観点からも、軍出身者がDNIに就任することへの批判もあります。

●2010年5月30日 東京
 海上保安庁の観閲式・海上訓練にご招待いただき参加しました。観閲船「やしま《に乗艦し、
 晴海埠頭を出発して東京湾で観閲式と、総合訓練を見学しました。人命救助訓練、武装秘密船捕捉・
 制圧訓練など、クオリティが高く、海上保安の戦術がとても勉強になりました。
 写真や詳細は福田研HPで後日紹介します。

●2010年5月20日 東京
 3月に沈没した韓国哨戒艦「天安《の事故原因に関する報告書が今日5月20日発表されました。
 その報告書において、5カ国の専門家による調査団は、北朝鮮潜水艦の魚雷攻撃にって撃沈されたと
 結論づけました。李大統領はこの問題に断固たる態度で臨むことを表明、米国オバマ大統領との
 協力関係も確認しました。これに対し、北朝鮮国営テレビは北朝鮮海軍による関与を否定する報道を
 行っています。朝鮮半島の情勢が、また緊張状態を迎えています。
 この問題に対して、日本政府はどのような対応をとるか、早急な対応が求められています。

●2010年5月7日 東京
 米国各種メディアの報道によると、5月2日に発生したNYタイムズスクエアでの爆弾テロ未遂事件で
 拘束されたパキスタン出身のアメリカ人、ファイサル・シャザード容疑者は容疑を認めるとともに、
 パキスタンでの軍事訓練、タリバンとの関係も供述している模様です。
 この事件の発生当初、「パキスタン・タリバーン運動(TTP)《などがネット上で犯行声明を発表
 していましたが、TTPは同容疑者との直接的な関連は否定している状況です。
 この事件に関して、米政府はテロ対策のための渡航禁止リスト制度の改定を開始しました。

●2010年4月16日 東京
 私にとって3冊目の単著となる『リスク・コミュニケーションとメディア~社会調査論的アプローチ』
 (北樹出版)を出版しました。この書は、リスク社会である現代社会における人々のリスクに対する
 意識に、メディアがどのような影響を与えているかを、筆者がこれまで実施したたくさんの社会調査
 から解明した実証研究です。上況による失業、新型インフルエンザなどのウィルス、地震などの
 自然災害、テロや戦争など、さまざまな危機とリスクに対する現代人の意識の構造と、テレビなどの
 メディアの影響をリスク・コミュニケーションの観点から検証しています。
 リスク・コミュニケーションのテキストとして、社会調査研究のテキストとしても活用できます。
 ぜひご覧下さい。

●2010年4月12日 東京
 国連で開催された核上拡散セキュリティサミットに際して、鳩山政権が茨城県東海村の日本原子力研究開発機構に
 「核上拡散セキュリティー支援センター《を新設する方針を決定しました。核テロ対策強化と核上拡散など、
 核や原子力の保全のため、人材育成や国際協力を推進する方針を打ち出しました。
 日本にも、国際的な視点で核上拡散への協力体制が求められています。

●2010年4月8日 東京
 今日は、日本大学法学部の入学式です。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
 大学4年間は、人生の中で特別な期間です。自分の将来のために、社会のために、自己の研鑽を
 一緒に追求しましょう。キャンパスで、教室で皆さんに会えるのを楽しみにしています。

●2010年4月5日 東京
 在外研究で2年間滞在したニューヨークから帰国しました。
 コロンビア大学客員研究員時代の2年間は、ニューヨークを中心にアメリカ合衆国の研究者、
 官僚、ジャーナリストの皆さんにたいへんお世話になりました。お礼申し上げます。
 今後も、コロンビア大学客員研究員の役職は継続しますので、引き続きよろしくお願いします。
 この4月から日本大学法学部に戻り、日本での研究、教育に復帰します。
 日本におけるテロ対策、インテリジェンス、危機管理のあり方について、今後も模索し続けます。
 これからもよろしくお願いいたします。

●2010年3月27日 NY
 4月6日、『テロとインテリジェンス~覇権国家アメリカのジレンマ』(慶應義塾大学出版会)を
 出版します。この書は、私のニューヨーク・コロンビア大学での2年間の研究成果の総決算です。
 911以後のブッシュ政権におけるアメリカのテロ対策やインテリジェンスがどのように改革され、
 それがオバマ政権の誕生によりどのように変わっていくかを考察した研究書です。
 世界の最先端を行くアメリカが確立するテロ対策などの危機管理体制、インテリジェンス活動や
 インテリジェンス・コミュニティ改革のあり方を、現地調査やインタビュー、最新の資料をもとに
 分析しています。またそれに対して、メディアや市民活動、人権問題などアメリカの民主主義が
 抱えるジレンマ、諸問題を考察しています。日本にも健全なテロ対策やインテリジェンスの確立が
 求められています。ぜひご覧下さい。  【慶應義塾大学出版会での本紹介】  

●2010年3月25日。NY
 今日は日本武道館で日本大学の卒業式です。日本大学の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
 そして、福田ゼミナール6期生の皆さん、卒業おめでとうございます。
 皆素晴らしい卒業論文を書き上げて、そして厳しい就職難の時代に内定を勝ち取りました。
 4年間の大学生活で身につけた責任感、自信、プライドを胸に、これから社会人として頑張って欲しいと
 思います。帰国できないのが残念ですが、ニューヨークから皆さんの門出、晴れ姿を祝っています。
 皆さんがつくる幸せな社会を期待しています。

●2010年3月20日。NY
 オウム真理教が地下鉄サリン事件を起こしてから今日で15年がたちました。
 あのとき私は東京大学社会情報研究所の大学院生として、通勤・通学に丸ノ内線を利用していましたが、
 テロの被害を免れました。その後、一研究者として災害情報研究やテロ研究など、危機管理とメディアに
 関する研究にたずさわってきました。オウム真理教の地下鉄サリン事件や、911・アメリカ同時多発テロ事件
 などにおけるテロとメディアの問題を考察した『メディアとテロリズム』(新潮新書)を昨年上梓しました。
 ここ2年間、ニューヨークはコロンビア大学で行ってきたテロ研究、インテリジェンス研究も大詰めに突入し
 ました。これからもこうした危機管理の研究に献身する所存です。地下鉄サリン事件の犠牲者の皆様のご冥福を
 お祈りします。

●2010年3月15日。NY
 先週、コロンビア大学戦争と平和研究所のロバート・ジャービス教授の新刊イベントが開催されました。
 『Why Intelligense Fails: Lessons from the Iranian Revolution and the Iraq War』(Cornell
 University Press)の出版イベントです。会場の書店「Book Culture《にはたくさんのお客さんが
 集まりました。教授はコロンビア大学での私の師匠にあたりますが、この書はインテリジェンス研究の
 必読書となるでしょう。イランのイスラム革命やイラク戦争に対する、アメリカのインテリジェンス活動
 の失敗を分析した事例分析が中心で、「インテリジェンスの政治化《の問題など、重要な課題が
 指摘されています。アメリカのインテリジェンスはよりよいあり方を求めて、現在も試行錯誤の状況です。

●2010年3月7日。NY
 昨日、ニューヨーク州ウエスト・ポイントにある米陸軍士官学校を訪問し、施設各所を見学しました。
 ここは陸軍の士官を養成する学校であると同時に、アメリカの軍事研究、テロ対策研究の研究者の
 集まる最先端の研究機関でもあります。ここの「コンバッティング・テロリズム・センター《には、
 テロ対策の専門家、Reid Sawyer教授がいます。他にも、このホームページで紹介している、
 Isaiah (Ike) Willson准教授や、David R. Gray教授、Gian J. Gentille教授など優秀な軍事研究者が
 たくさんいます。2009年12月には、このウエスト・ポイントで、バラク・オバマ大統領が士官候補生たちの
 前で演説し、「アフガニスタン新戦略《を発表しました。
 今回ここを訪問して、アメリカ陸軍の歴史、仕官教育の歴史、戦争の歴史や兵器について多くを学びました。
 このウエスト・ポイント訪問訪問について詳細は、このホームページ「活動報告《のページで紹介しています。

●2010年3月1日。NY
 2月27日、チリでM8.8の大地震が発生しました。前回のチリ地震と同様に津波が発生し、太平洋を
 渡って遠くハワイや日本を津波が襲いました。地震当日は、CNNなどテレビ各局がチリ地震の報道で一色に
 なり、アメリカでもハワイ、日本への津波の情報が注目されました。
 早くもオバマ大統領はチリ地震への支援を表明しましたが、アメリカにはチリからの移民も多く、
 国家を超えて地震被災者の安否情報がアメリカ国内から求められています。阪神淡路大震災のとき
 インターネットが災害情報、安否情報に活用され注目されたように、今回のチリ地震ではFacebookや
 Twitterなどが被災者の安否情報やボランティア活動に活用される事例が報告されています。

●2010年2月25日 NY
 アメリカで911テロ事件の直後に発生したバイオテロ・炭疽菌事件に関して、米連邦捜査局(FBI)は19日、
 すでに自殺して死亡した当時の米陸軍感染症医学研究所のブルース・アイビンス研究員を被疑者と断定して、
 この事件の捜査終了を宣言しました。この事件は、炭疽菌入りの手紙が新聞社などメディアや議員事務所に送り
 付けられ、郵便局員ら5人が死亡、17人が感染・負傷したものです。
 今月18日にはテキサス州オースティンで連邦政府ビル(IRS)に小型機が突入し、多数の死傷者が出ました。
 アンドリュー・J・スタック容疑者が恨みを晴らすための自爆攻撃で、ネット上で犯行を示す彼の遺書が
 発見されています。米国土安全保障省(DHS)は「テロとの関連はない《と表明していますが、
 これらの事件は国際テロネットワークとは関係ない単独犯とはいえ、社会に混乱を招く「一匹狼型《テロリズム
 の典型です。国際テロだけを追うのではなく、こうした国内の単独犯による自暴自棄型テロに対するテロ対策も
 重要な課題です。

●2010年2月22日 Boston
 2月下旬からマサチューセッツ州ボストンを訪問しました。ケンブリッジにあるハーバード大学や
 マサチューセッツ工科大学(MIT)を訪問し、見学、資料収集を行いました。ハーバード大学ではロースクール
 を見学し、MITではメディアラボなど近代的なキャンパスを見学しました。
 22日にはハーバード大学にて、ノーム・チョムスキーMIT教授の講演会がありました。チョムスキー教授の
 本来の専門である言語学、生成文法に関する講演で、911以後ここのところアメリカの戦争やテロ問題に対する
 批評活動が多いチョムスキー教授ですが、本来の研究分野でもお元気にご活躍のようです。
 ボストンでは、フリーダム・トレイルに沿って、アメリカ独立戦争の激戦地・バンカーヒル記念塔や、ネイビー・
 ヤード、ボストン虐殺事件跡地、ボストン・ティーパーティ事件などアメリカ独立に関する史跡を巡りました。

●2010年1月30日 New Heaven
 本日、イェール大学を訪問。コネチカット州ニューヘヴン市にあり、NYから電車で2時間弱の距離です。
 大戦後のアメリカで、CIAにおけるインテリジェンス活動を確立したシャーマン・ケントは、このイェール大学教授を
 つとめていました。また、アメリカを代表するジャーナリストの一人、ボブ・ウッドワードはこのイェール大学の出身で、
 彼はワシントン・ポストの記者としてウォーターゲート事件の闇を暴き、その後、ピューリッツアー賞を2度受賞して
 います。『攻撃計画』『ブッシュの戦争』『ブッシュのホワイトハウス』など3部作でも世界的に知られる、
 調査報道の大御所です。この二人については、私が現在書いている著書の中でも紹介しています。
 アメリカのインテリジェンスとジャーナリズムの問題を考察するとき、この二人の存在、そしてイェール大学を抜きに
 語ることはできません。イェール大学は、クリントン大統領やブッシュ大統領など有吊政治家を輩出しており、
 とくに911以後のブッシュ政権では、テロ対策や対テロ戦争を指揮したブッシュサークルはイェール大学閥で
 占められていました。

●2010年1月17日 NY
 阪神淡路大震災から15年が経過しました。
 ハイチでは1月12日、マグニチュード7.0の大地震が、首都ポルトープランスの南西約15キロというごく近くで、
 そして約10キロという浅い震源で発生しました。震源が大都市に近く、しかも浅いというのは、地震にとって一番
 危険なパターンです。犠牲者数は10万人を超えると言われていますが、まだ正確な数字は全くわかりません。
 その前日も、カリフォルニアでM6.5の地震が発生していました。
 オバマ大統領は早速支援を表明し、米空母カールビンソンが派遣され、ヘリコプターや輸送機を使って、
 物資や救助隊の支援を展開しています。米国のテレビ特にCNNなどは、サンジェイ・グプタ記者やアンダーソン・
 クーパー記者らが早々に現地入りし、このハイチ地震の報道一色となっています。
 今回のハイチ地震では、アメリカを中心にツイッター(Twitter)や、フェイスブック(Facebook)などのSNSが
 被害者支援やボランティア活動で活躍したと言われていますが、一方でハイチ地震ではこうしたインターネットを
 通じて、災害対策に混乱をもたらすデマや流言、また義捐金詐欺が拡大していることも問題になっています。

●2010年1月10日 NY
 昨年12月25日クリスマスに、ナイジェリア人のアブドゥル・ファルーク・アブドゥルムタラブ容疑者による、
 米ノースウエスト航空機爆破テロ未遂事件が発生しました。このテロに関して「アラビア半島のアルカイダ《が
 関与を認める声明をネット上で発表、その後アルカイダのオサマ・ビンラディンが関与を認めた音声メッセージが
 アルジャジーラで放映されました。これによりアメリカでは、オバマ政権のテロ対策の甘さが批判されましたが、
 オバマ大統領はこれに対し、①インテリジェンス・コミュニティにおける情報分析の全面的見直し、
 ②航空機搭乗拒否リストやテロリスト監視リストの登録基準の強化・徹底、③新しい爆発物への対応と空港、
 旅客機の安全対策の強化などを表明しました。オバマ政権において、今後さらにインテリジェンスの改革と
 航空安全管理の改革が徹底される見込みです。

●2010年1月1日元旦 NY
 新年、明けましておめでとうございます。
 ニューヨークで2度目の新年を迎えました。コロンビア大学での客員研究員生活も3学年目に突入します。
 今年は平和で安全な年でありますよう、皆様のご多幸とご健康をお祈りしております。
 今年も日本大学法学部・福田充研究室をよろしくお願い申し上げます。


FUKUDA, Mitsuru. Nihon University, College of LAW. JAPAN.


2009年8月、『メディアとテロリズム』(新潮新書)を上梓しました。
1950年代のテレビの登場以来、テロリストがメディアを利用し、メディアがテロリズムをコンテンツとして、
オーディエンスがテロリズムを消費する「メディアとテロの共生時代」が到来しました。テロリストと
メディアが互いを利用し合う負のスパイラルによって、テロリズムはスペクタクル性を拡大させるという
矛盾をどうすれば超克できるでしょうか。日本とアメリカで発生したテロ事件を中心にこのメディアとテロの
問題を考察し、イギリス、アメリカの制度を紹介しながら、日本の解決策を提言しました。
私が30年来関心を持って追い続けた戦争とテロリズムの問題、15年間取り組んできたテロリズムとメディアの
研究、米国コロンビア大学での客員研究員生活で得た経験をとりまとめた集大成です。


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○2008年12月よりカウンター設置。